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プロジェクトインタビュー

第14回プロジェクトインタビュー:
 薫習館 Koh-labo「香りのさんぽ」 様


第14回プロジェクトインタビュー:薫習館 Koh-labo「香りのさんぽ」 様 へのリンク画像

伝統の技を現代へ。京都から次世代の感性に刺さるプロモーションの展開!

「香老舗 松栄堂」は京都で創業300余年、お香の製造・販売を手掛ける老舗メーカーです。匠の技を守り継ぐ一方、老舗の枠に留まることなく1989(平成元)年にはスタイリッシュなお香ブランド「Lisn(リスン)」を立ち上げ、京都北山にアンテナショップ「リスン北山」を開設。その他、ワンコインで買える商品開発や、アニメ・ゲームとのコラボレーションといった挑戦を続けて新たな市場を開拓しています。
2018年には、京都本店に隣接した、日本の香り文化の情報発信拠点「薫習館(くんじゅうかん)」がオープン。施設の1階でひときわ目を引くスペース「Koh-labo 香りのさんぽ」に設置された “かおりBOX”と呼ばれる大きなボックスに頭をすっぽりと包まれた来館者の姿がSNSで話題を呼び、大勢の若者が訪れる人気スポットになりました。当社は「Koh-labo 香りのさんぽ」の設計・制作にわたり本プロジェクトをお手伝いさせていただきました。本稿では、松栄堂の代表取締役社長と薫習館のチームマネージャー様、当社のプロジェクト担当者が、プロジェクトへの想いやこだわり、今後の展望について語っています。


株式会社 松栄堂
代表取締役社長
畑 元章 様

1981年、京都生まれ。立命館大学卒業後、2007年に(株)松栄堂に入社。お香の製造・販売・営業の経験を積み、2018年 経営計画室を立ち上げる。専務取締役を経て、2025年9月 代表取締役就任。300年の歴史をもつ香老舗 松栄堂の13代目として、国内外広く香文化の情報発信を行っている。ライフワークとしている読書を通じて、社内のコミュニケーションを活性化させている。

株式会社 松栄堂
企画事業部 薫習館チーフマネジャー
寺本 茂正 様

京都府京都市生まれ。2003年株式会社松栄堂入社。商品管理部・企画事業部・百貨店での販売経験を経て、薫習館プロジェクトへ。2018年の薫習館開設以来運営業務に従事している。来館者が気軽に松栄堂の香りに接することができる展示を日々模索中。

株式会社トータルメディア開発研究所
プロジェクト事業本部 西日本事業推進第2部 推進1チーム
チーフプロデューサー 澤井 浩臣

2015年トータルメディア開発研究所入社。営業での経験を活かし、お客様に寄り添いながら、先を見据えた課題解決につながる施設開発を目指す。民間のミュージアムやショールームを中心に全国各地のプロジェクトに携わり、「Koh-labo 香りのさんぽ」では新規層へのアプローチという課題に対して、施設コンセプトの提案から、展示設計・制作までを一貫して担当。

薫習館1階の「Koh-labo 香りのさんぽ」

コロナ禍から入館者数がV字回復!年間約10万人が来館する企業ミュージアムに。


株式会社松栄堂 代表取締役社長 畑 元章 様(以下、畑 社長)

当社が運営する薫習館は、2018年7月、“日本の香りの情報発信拠点”をコンセプトに開館。香りについてまったくご存じない方々が体験を通して「松栄堂が伝統的に作ってきた香りはどのようなものか」を知っていただける、企業ミュージアムの要素も含む施設です。オープン当初の来館者数は、平日で1日約50人、休日で1日約150人程。「1年間で1万人以上の来館者数が見込めれば、企業ミュージアムとしては成功です」とトータルメディアさんからお聞きしていましたので、「1つのハードルをクリアできた」と安堵しました。
しかし、2020年にはコロナ禍で来館者数が激減。コロナ後も客足が戻らず頭を悩ませていたところ、突如SNSで話題になったことで若いお客様が増えはじめました。年間来館者数が、約3倍の10万人に跳ね上がったのです。コロナ禍から立ち上がる一番のきっかけをくださったのが、トータルメディアさんから提案いただいた“かおりBOX”の存在でした。
おかげ様で松栄堂の認知度は劇的に変わりました。さまざまな業界の方から「どれだけ広告を出したのか?」「インフルエンサーを呼んだのか?」と聞かれたり、「松栄堂がデートスポットになった」と言っていただいたり。当社からインフルエンサーの方に働きかけたりSNS広告を出したりしたことはないのですが。


来館者のSNS投稿が相次ぎ大きな集客のきっかけとなった“かおりBOX”


株式会社トータルメディア開発研究所 澤井 浩臣(以下、澤井)

話題のきっかけとなった“かおりBOX”は企画の途中から出てきたアイデアです。松栄堂様は本社香房が博物館登録されていましたので、最初は製造工程やお香の基礎知識を伝える学術的な展示を検討されているのかと考えていました。プロジェクトが始まって間もなく、松栄堂様より「写真で見て訪れたくなるような、インスタ映えするもの」というご要望を頂戴しました。こうした先見の明がヒットにつながったのだと思います。

(畑 社長)
京都の経営者が集まる会議に参加した時、尊敬している先輩が出席者に対して「薫習館に行って欲しい。伝統工芸の仕事をしている松栄堂に10~30代の若者が集まって『これは一体何だろう』と香りを体験している。あんな未来を作れるところ、今、京都にいくつあるだろう」と言ってくださいました。これは本当にうれしかったです。トータルメディアさんとの出会いがなければ、起こりえなかったことです。

株式会社松栄堂 寺本 茂正 様(以下、寺本氏)
もともと京都本店はお線香を求めてご来店くださるリピーターのお客様が多く、年齢層は50~70代が中心でした。若年層のお客様にも来ていただきたいと思っていましたが、どのような訴求をすれば響くのかまったくアイデアが浮かばなくて。そんな時、トータルメディアさんに「香りのさんぽ」のご提案をいただき、「なるほど!こういうやり方があるのか」と気づかせていただきました。特に大学生における認知度はとても高くなり、リクルート活動の際には「松栄堂は知らないけれど、“かおりBOX”の写真は見たことある」と言っていただけますし、以前より説明しやすくなりました。

(畑 社長)
私は大学で講義を受け持っていますが、以前は「松栄堂の名前を知ってますか?」と投げかけても手が挙がるのは50人中3人くらい。それが2021年以降になると、“かおりBOX”の写真を見せると40人近くの手が挙がるようになったのです。従業員への影響もありました。店舗スタッフは「どうしたら自分たちが提案するレイアウトで購入していただけるだろう」と自発的に考えるようになりましたし、営業担当は「松栄堂さん、よくSNSに出てくるけど何をしているの?」とお客様側から声をかけていただけるようになったんです。当社の全員が刺激をいただいています。


整備当時のエピソードを語り合いながらプロジェクトを振り返る

当初“かおりBOX”の導入には懸念も。さまざまな難題を乗り越えて実現へ。

(澤井)
“かおりBOX”の企画は、「若者に対してお線香のイメージを払拭したい」という先代のご要望に、「展示でお応えするにはどうしようか」と思案を重ねたものです。


さまざまな検証を経て設置された“かおりBOX”

(寺本氏)
“かおりBOX”の前身の提案で「壁のへこみに顔を近づけて香りを体験する」というアイデアを出してくださった時は、「なるほど!」と新たな視点をいただきました。同時に「香りを1日持続させるにはどれだけのお香が必要なのか」「火が使えない中でどう香りを生み出すのか」「ある程度、密閉された空間は必要だが、密閉しすぎると使いづらい」などさまざまな課題も。
そこからブラッシュアップくださった案の1つが“かおりBOX”だったと記憶しています。面白いアイデアでしたが、リスクを考えると「いや、これは」と最初は難色を示していました。

(澤井)
社内でも前例のない展示手法に対しての懸念点も挙がっていました。このような場合、通常ならご提案しませんが、私自身は面白いと感じていましたし、御社からも「新しい香りの体験を提供したい」とご要望をいただいていたので、「面白いとは思うんですけど、課題もあって」と前置きしたうえでご提案させていただきました。

(畑 社長)
先代が「面白い!ぜひやろう」と喜んでいたのを覚えています。役員室にBOXのダミーが設置されて、「社内のスタッフにも体験してもらいなさい」と企画が動き出しました。背の高い人、低い人、子どもたちなど、どんな人にも楽しんでいただける高さを見定めるのに、とても苦労していました。

(寺本氏)
BOXの制作工場も訪問させていただき、「踏み台を置くのか」「車椅子の方も体験できる高さにするのか」などあらゆる角度から検討を重ねていきました。正直なところ、最後まで「本当にお客様が入ってくださるだろうか」という不安は消えませんでした。オープンした後、何の躊躇もなくお客様が入られるのを見た時には心からホッとしたのを覚えています。そして、もう1つ頭を悩ませたのは香りを維持する温度とお香の量。試行錯誤の連続でしたが、一人ひとりが安心して楽しめる展示になって本当に良かったです。


制約のある条件下で香りを体験していただくための機構を組み込んだBOX内部

(澤井)
新しい展示の挑戦に踏み切ってくださったので、我々の士気が上がりました。寺本様は「こんなことはできるか」「こんな方法はどうだろう」など一緒に考えていただけるので、こちらの提案にも力が入りましたし、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。

固体・粉末の原材料を用いた“香りの柱”は世界でも珍しいコンテンツ。


ポンプを使って香りの風を送出する“香りの柱”


(畑 社長)

当施設以外にも香りをテーマにした博物館はありますが、液体の香りを楽しむ西洋の香水がメインです。一方、私たちの和の香りは個体・粉末からできていて、原材料そのものの香りを楽しんでいただくことにこだわっており、それが“香りの柱”の設置につながったと記憶しています。

(寺本氏)
展示手法には頭を悩ませました。トータルメディアさんも私たちも、香りという目に見えないものを新しい展示に反映させることはとても難しく、トータルメディアさんの展示に対する知見と私たちのノウハウを融合するため、何度もやり取りを重ねましたね。


(澤井)

運用上の安全を考え、火を使わずに香りを体感していただける方法を思案しました。“かおりBOX”は電気でお香を加熱していますが、 “香りの柱”では「風」に思い至り、利用者がポンプを押して風を送り、香りを感じていただく仕様になりました。

(畑 社長)
原材料を目で見ながら、その香りを直接体験いただくことで関心が高まるせいか、“香りの柱”を体験されたお客様は商品に対して興味を持たれる方が多いように思います。

原産地の風景を眺めながら沈香を堪能できる“熱帯雨林の壁”。


沈香(ぢんこう)が育まれる熱帯雨林の写真を背景に展示

(畑 社長)
“熱帯雨林の壁”は、沈香(ぢんこう)※ の成り立ちについて学んでいただける展示です。先代のコレクションがありましたので、比較的早くから展示することが決まっていました。沈香が育まれる熱帯雨林の写真をバックに、沈香の形や種子、加工されたものなどをアクリルケースの中に展示しています。壁の熱帯雨林の写真は原産地で実際に撮影されたものを使用しています。
※沈香:主に東南アジアに産するジンチョウゲ科の樹木に、樹脂が長い年月を経て凝結してできたもの。

(寺本氏)
沈香の形はとても特徴的なので、鏡を置いて裏側をご覧いただけるよう工夫しています。最初は細かい情報を展示するよう希望していたのですが、トータルメディアさんにぐんとシンプルにしていただいたことで、結果的にとても見やすい展示になりました。

嗅覚で、単体の香りと調合された香りの違いを体験できる“香りを楽しむ”コーナー。


(畑 社長)

こちらの“香りを楽しむ”というコーナーは、原材料単体の香り以外に、「調合」による香りの重なりを体験いただける展示です。これは、調合師が出してくれたアイデアですよね。


“香りを楽しむ”コーナーでは、「調合」による香りの重なりを体験できる展示が人気


(寺本氏)

トータルメディアさんに展示方法や維持方法をご提案いただいて、なんとか香りの重なりの展示を実現できました。体験いただく香りは定期的に変えたいと考えていましたので、その点も考慮していただきました。

(畑 社長)
2024年にフランスへ出張した時、「アラブ世界研究所」に立ち寄りました。「香りの展示をしている」と現地の方からご紹介いただいたのです。そこで衝撃を受けたのは当社の“香りを楽しむ”とほぼ同じ体験ができるコンテンツがあったこと。調合を体験してもらいたいという同じ想いを感じ、自分たちは間違っていなかったという自信につながりました。感動して、帰国後「今すぐスタッフに見に行ってきてほしい」と先代に伝えたほどです。

江戸時代の製造工程を現代へと伝える“製造工程ミニチュア”。文化としての香り。

(寺本氏)
こちらの“製造工程ミニチュア”というコーナーは、江戸時代に伝わった製造工程や技術をミニチュアで学んでいただける展示です。これは以前「お香の製造技術の歴史を残そう」という動きがあった時、実際に昭和初期の作業を知る方に工程をお聞きして作ったものです。今までお披露目する機会は少なかったのですが、この機会に展示することになりました。


江戸時代に伝わった製造工程や技術をミニチュアで学んでいただける展示


(畑 社長)

1900年初期に機械が導入される少し前の時代です。製造工程では水を使いますし、こねるとなればかなりの重労働だったでしょう。私も祖父から伝え聞いただけで実際見たことのない工程もありますので、このミニチュアは分かりやすく、感心しています。

(澤井)
お香文化はいつ頃、日本に入ってきたのでしょうか。古都・京都に伝来されたからこそ、文化として根付いたのでしょうか。

(畑 社長)
お香文化は仏教が伝わった西暦600年頃、シルクロードを通って建築や漢字、織物、染めなどと一緒に伝来したと聞いています。平安時代には首都だった京都に人も物も集まり、宗教的、社会的に地位の高い方もいて、新しいトレンドを受け入れる条件が揃っていました。その後、文化として定着・発展してきたのではないでしょうか。


話題はお香文化のルーツをたどる仏教伝来の時代へと遡る


(澤井)

外国人旅行者の方もたくさんご来館されているかと思いますが、日本人の反応と違いはありますか。

(寺本氏)
日本の方は匂い袋の香りを嗅ぐと「おばあちゃんの家の香りみたい」と表現されるケースが多く、外国の方は純粋な日本の香りとして受け入れてくださっています。匂い袋には比較的強い香りを使っていますが、海外の方は「WOW」と言って驚きながらも楽しんで体験されており、お香の香りが日本の文化として受け入れてもらえているという印象です。リアクションが違うのは面白いですね

「写真を撮っただけで帰ってしまう」展示で興味を持った若いお客様を購買まで導く秘策。


(澤井)

「香りのさんぽ」の大ヒットによってお客様の幅はぐんと広がりましたが、変化による戸惑いや課題はありましたか。

(畑 社長)
若いお客様は写真撮影を目的にご来館くださる方がほとんど。そのため、撮影が終わるとすぐに帰ってしまうのが課題になりました。本店にご案内しても薫習館とのギャップが大きすぎるせいか「一体、ここは!?」と驚いてしまうのです。これまで接してきたお客様とは行動が違いますので、皆に戸惑いがありました。

(寺本氏)
その改善策として考えたのが、館内のルート化です。「香りのさんぽを見終わったら、ギャラリーを見て、本店に行く」というルートを決め、順路1、順路2、順路3と標記しました。すると皆様、律儀に守ってくださるようになったのです。ルート化は1つのポイントだったかと思います。


(畑 社長)

やはりお買い物をしていただけないのは課題でした。スタッフからは「海外の方でないとお買い物をしていただけない」という声も上がり、ネガティブになりかけた時期が実はありました。
そこで、手のひらに乗るくらいの小さいサイズの匂い袋や薄型の紙製の匂い袋など、コンパクトに持ち歩けてギフトにもなる商品の充実を図りました。また、「香りのさんぽ」で体験していただいた香りの名前を商品に明示するようにしました。このリレーションで「さっき体験した香りはこれなんだ!」と興味を抱いて商品を買っていただけるようになりました。
こういった取り組みから徐々にお客様の反応が変わっていきました。

(澤井)
まさに、ミュージアムと店舗販売を連携した戦略がうまくできていったわけですね。

(畑 社長)
また、「Kun Gacha(薫ガチャ)」というカプセル自動販売機が導入されてから、この匂い袋が本店販売個数の第1位になりました。修学旅行生もお友だちどうしで買ってくれるようになりましたし、同じ値段で匂い袋を売り場に置くよりも、カプセル自動販売機にすると「楽しい!」と言って皆が買ってくださるのです。これには本当に驚きました。

伝統的なお香をカプセル自動販売機で敷居を低く。アミューズメント性が購買意欲を後押し。

印象に残った「カレーの香りに勝ちたい」という言葉。そこに隠れた真意とは…

(澤井)
プロジェクトを進める中で、とても印象に残っているのが「カレーの香りに勝ちたいんだ」という畑社長のお言葉です。「家に帰った時にホッとするあの香りに勝ちたいんだ」と。他社とのお打ち合わせ中におっしゃったひと言だったかもしれません。

(畑 社長)
まったく覚えていないです(笑)。その真意は恐らく、カレー屋さんの前を通ると大抵の人が「カレー屋さんがある」と認識されるでしょう。薫習館も通りがかった方々が良い香りを感じて「松栄堂だ」と話題にしていただけるような場所にしたい、と思ったのかもしれません。当社の前を通る方が「何かいい香りする。何の香りだろう」と言ってくださるように。
カレーの香りには勝てていないかと思いますが、通りすがりの方々にも認識していただけるのはありがたいことです。


通りすがりの方々に“香り”に気づいてもらうことがブランディングに

より深く香りの世界を学べる企画展で、何度来ても楽しめる施設に。

(澤井)
「Koh-labo香りのさんぽ」と同じフロアにある「松吟ロビー」では、毎回アイデアに富んだ企画展を開催されていらっしゃいますね。

(寺本氏)
「松吟ロビー」では、お香のたき方や当社の歴史など、定期的にテーマを変えながら、初めて香りを知る方からより深く知りたい方までお楽しみいただけるよう、趣向を凝らした企画を展開しています。

ユニークな企画展示が定期的に開催される「松吟ロビー」。毎回趣向を凝らした企画展示が開催されるのも薫習館の魅力のひとつ。

企画展はその都度工夫を凝らして、展示も自前でつくりあげています。
「Koh-labo香りのさんぽ」のプロジェクトで、澤井さんは「調整したい」「変更したい」という細かい要望にもとことん向き合ってくださいました。澤井さんと一緒に展示をつくらせていただいた経験が企画展示を考えるのに今でも役立っています。展示手法で悩んだ時は、「困った時はホームセンターに行くと色々なものがあるので、これ使えそう!など、ひらめく材料が揃っていますよ」とおっしゃっていたのも参考にしています(笑)。

(畑 社長)
家族旅行などで企業ミュージアムを訪れると、音声ガイドや映像はよく見ますが、リアルな体験ができる展示は珍しく、そこが薫習館の特徴だと思います。来館者の表情もまったく違うと実感しますし、企画展においても薫習館の次の展開を考える際にも絶対忘れてはいけないポイントだと思います。

次世代に香文化を継承していくために、ミュージアム事業を通してさらなる飛躍を図りたい。


(畑 社長)

2020年から年間約10万人の方にお越しいただいています。当初は「この来館者数は維持できても3年くらいだろう」と考えていましたので、寺本さんをはじめとするスタッフの努力、そしてキャンペーンや展示のおかげだと思います。先日、ある博物館で非常にレベルの高い動画を拝見しました。10~20年後はこれが企業ミュージアムのスタンダードになっているかもしれない、と危機感を抱くほど。「昔、薫習館に行ったけど、もう古いよね」というお声にならぬよう、開館10周年を迎える2028年に向けて、当時のメンバーと次世代のメンバーで真剣に話す必要があるだろうと考えています。
もちろん“かおりBOX”や“香りの柱”は我々の軸。「来て良かった」「香りって楽しい」と次世代の方に感じていただけるようにブラッシュアップしていきたいですね。

(寺本氏)
「Koh-labo香りのさんぽ」のおかげで、幅広い年代の方に松栄堂の香りを楽しんでいただけるようになりました。しかし、どこまで松栄堂を知っていただけているのか、理解してくださっているのか、もう一歩先を望みたいのも正直な想いです。今来てくださっている若いお客様が末長く松栄堂の顧客になっていただくために、まだできることがあるのではないか、と考えています。より深く伝えるためにはどうすれば良いのか、どのようなことをすれば楽しんでいただけるのか、まずは私自身が展示しながら追究したいと思いますので、何か良いアイデアがございましたらぜひ教えてください。

(澤井)
今までさまざまな案件に携わってきましたが、これほど想いの強いお客様とお仕事をさせていただいたのは私にとっても学びが多く、とても充実したプロジェクトになりました。私は京都出身ですから「故郷に錦を飾りたい」という想いもあり、こうして携わらせていただいたことに感謝しています。また、今後もいろいろとご協力させて頂きたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。


2025年8月 薫習館「Koh-labo 香りのさんぽ」にて収録

香老舗 松栄堂 koh-labo 香りのさんぽに関するプロジェクトレポート

香老舗 松栄堂 koh-labo 香りのさんぽ
展示施設設計/展示制作・工事

お香の魅力を再発見し、その奥深さに迫る。

本ミュージアムは、「お香といえば、お線香」「お香=仏事のお線香」という固定されたイメージを、材料、製造工程、製品の各視点からアプローチすることで、新たな気づき、発見、楽しみをもってそのイメージを刷新し、香りとの新たな出会いの創出を目的としている。 古くから、お香は人々の生活に密着していた。時代とともに多様になる現代生活に寄り添い、香文化の継承・発展に貢献している松栄堂の想いに呼応する形で、本展示では感覚による体験を重視し、詳細な解説文を省略して言語によらない展示の構成とした…続きを読む

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