プロジェクトレポート 2007鉄道博物館
鉄道の技術や原理を学び、体感する。鉄道の総合博物館。
プロジェクトの狙い・課題
■来館者が日本の鉄道のイノベーションを学び、自発的な創造の意欲を持ち帰れる博物館へ。
■来館者に鉄道そのものを好きになってもらい、鉄道ファンの裾野を拡げる。
取り組みの視点・解決策
■新幹線に代表される世界一の鉄道技術を徹底して再現する展示。子供の気づきや発見をサポートするプログラムの導入。
■海外博物館のベンチマークを積み上げ、来館者の心をひきつける鉄道博物館のあるべき姿を検討。
鉄道の歴史と技術を凝縮した、博物館の新しいかたち。
鉄道博物館は、JR東日本設立20周年記念事業のメインプロジェクトとして、2007年10月に開館しました。大人から子供まで、鉄道の歴史を知り、鉄道の技術や原理を学び、鉄道の楽しさやおもしろさを体感する博物館です。 プロジェクトが始動した当時、鉄道博物館をJR東日本のPRを超えた、公共性の高い博物館にすることが求められました。鉄道の歴史や文化、技術を集大成してわかりやすく伝えることで、社会に貢献すること。親子を中心に鉄道そのものを好きになってもらい、鉄道のファンの裾野を拡げること。そして事業性を重視し、集客力の高い施設にすることが求められたのです。 こうした要請を受け、鉄道発祥の地、イギリスのヨークにある国立鉄道博物館、アメリカのスミソニアン博物館、ボストン・チルドレンズ・ミュージアムなどを視察。ベンチマークを積み上げていくことで、鉄道博物館のあるべき姿を検討しました。また、鉄道博物館の基本理念は、「日本独自の鉄道システムを創り上げてきたイノベーションと人間の叡智」とされ、「来館者が日本の鉄道におけるイノベーションを学び、鉄道の未来を明るく楽しく語り、自発的な創造の意欲を持ち帰れる博物館」をめざすこととなりました。 鉄道博物館のコンセプトとして、
- 日本及び世界の鉄道に関わる遺産・資料に加え、国鉄改革やJR東日本に関する資料を体系的に保存し、調査研究を行う「鉄道博物館」
- 日本の鉄道システムの変遷を、各時代を代表する車両等の実物展示を柱に、時代背景等を交えながら、分かりやすく説明する「歴史博物館」
- 鉄道の原理・仕組みと最新の鉄道技術について、こどもたちが模型やシミュレーション、遊戯器具等を活用しながら、体験的に学ぶ「教育博物館」
という3つを掲げ、日本の鉄道システムを支えてきたJR東日本の歴史と技術を知り、鉄道の原理・仕組みを楽しく体験する展示を構築したのです。
鉄道をテーマに、来館者の心をくすぐる展示の魅力。
展示には、特に設立の理念を実現していくことが期待されました。そこで、単に鉄道車両を並べるだけの展示ではない、話題性やインパクトがあって、やってみたいと思ってもらえるような展示が多数導入されています。 「ヒストリーゾーン」では、英国から技術を導入して誕生した日本の鉄道が、日本の風土にあわせて独自の発展を遂げ、新幹線に代表される世界一の鉄道を築きあげるまでの歩みを、実物車両や往時の情景を再現する展示で伝えています。鉄道技術のイノベーションの歴史をめぐる巨大な空間です。 「ラーニングゾーン」では、鉄道の仕事を体験したり、鉄道に応用されている科学の原理や技術をハンズオン展示を通して学習します。学校と連携した教育プログラムを実施し、子供たちが楽しみながら鉄道を学ぶ明るい展示空間です。「模型鉄道ジオラマ」や「D51運転シミュレータ」、「ミニ運転列車」など、鉄道本来の技術を忠実に徹底して再現することで、鉄道の楽しさを実感し、子供たちの創造への意欲を刺激する体験を提供します。
“鉄道と暮らし”をテーマにした、第2期鉄道博物館への整備も推進。
鉄道博物館は、当初の集客予測を超えて、開館2年目で入館者数300万人を突破する日本一集客力のある企業博物館として認知されるようになりました。また、日経の企業博物館ランキングにおいて1位を獲得するなど、一種の社会現象を引き起こしています。 現在、“鉄道と暮らしの関わり”から生まれる多様な鉄道文化をクローズアップする第2期鉄道博物館の整備も推進しています。また、埼玉県教育委員会・さいたま市教育委員会などとの連携も進んでいます。 企業博物館の最前線を、鉄道博物館は走り続けます。
- 公式サイト
- http://www.railway-museum.jp/
- 所在地
- 埼玉県さいたま市大宮区大成町3-47
- 分野
- 企業文化施設
- 設立主体
- 東日本旅客鉄道株式会社
- 開館年月
- 2007年(平成19年)10月14日
- 規模
- 延床面積28,300㎡ 展示面積10,000㎡
- 業務範囲
- 施工
- 展示空間の構成
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印刷と人・社会・文化の関わりを探求。 人類の歴史とともに歩んできた印刷文化について探求し、その成果を「印刷文化学」として情報発信する施設です。凸版印刷(株)創立百周年記念事業として計画され、一企業のPRを超えた社会貢献をめざしています。印刷をコミュニケーションの一つととらえ、その発達史をおった時間軸と、「社会」「技術」「表現」という3つの視点からみたテーマ軸によって展示を構成。施設展開では、来館者の展示理解の深度にあわせて「かんじる」「みつける」「わかる」「つくる」と展示テーマを設定し、「プロローグ展示」「企画展示」「総合展示」「印刷工房」の各ゾーンに展開しています。